« 一、いち、ひとつ、はじめ | メイン | 老人施設の立地 »

2004年12月24日

アナログとデジタル

 ここ数年のIT技術のすさまじい発展は人と人との直接的な接触を不要とするばかりでなく、沢山の情報に追いまくられ、じっくりと考える間もなく瞬時に結論を出すといういわゆるデジタル型人間が増えている。この情報化社会は大変便利なようでいて実はその歪みがいろいろな場面で噴き出しているのが現状である。
 今日コンピューターの0か1か善か悪かの二者択一論理が米国とイラク戦争をドロ沼化し、また問題を短絡的に捉えるがために多様な人間の価値観を否定し、これがひいては集団的ヒステリー現象をも引き起こしかねない。また画面や文字のやりとりのみで人の顔が見えないコミュニケーションは相手の喜びや痛み、苦しみといった感情を正確に捉えることができず、温もりのない一人一人を孤立化に追いやる社会にもなっている。読書が廃れ、テレビやゲームの即物的即時的な情報の入手は人からじっくり考えたり味わったりする機会をも失ってしまう。
 人間の心の潤滑油である遊び、余裕、間を大切にしたいものである。

投稿者 noguchi : 2004年12月24日 09:23

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.nichiiken.com/mt3/mt-tb.cgi/46

コメント

 一昨日お目に掛かりました加賀谷と申します。同業界に身を置く者として、ご指摘に改めて身の引き締まる想いが致しました。誠に僭越ながらいくつかの案件を通じ経験できたことは、ITとは関係なく業務を取り巻く曖昧模糊としたニュアンス(多面・多層的な背景)を共有する姿勢が大切である、ということでした。意味不明な業界用語を高所から捲くし立てる人物は多いのですが、お客さんに興味を持ち、その悩みや潜在的な要望に想像力を働かせる業界人に出会うことは稀です。システムの開発案件においてプロジェクトマネージャー(顧客と開発陣営の通訳・調整)が足りない!と言われる所以でもあります。
 一方で、物心付いた頃からTVゲームや携帯が身近にあり、算数の授業に電卓を使わせるご時世ですから、彼らが孤立化を恐れてメールやチャットに依存したがるのも理解できます。しかしそれでも彼らは人間で、割り切れない思いを表現したり、受け止める術を求めて苦しんでいるようにも感じます。高校生の娘に“剣客商売”や“用心棒日月抄”を薦めるのは、仰られる潤滑油の大切さを伝えたいからなのかも知れません。失礼致しました。

投稿者 加賀谷典克 : 2004年12月24日 19:03

コメントしてください

コメント登録機能が設定されていますが、TypeKey トークンが設定されていません。