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2005年06月28日

後継者セミナーで感じたこと その4  継ぐには魅力のない病院

近年一般病院や精神病院で急性期をやめてやむを得ず、療養型や介護施設への転換へ追いやられる病院が増えている。また、病院が病床の稼働率や外来の減少といったいわゆる販売不振で収益が落ち込み赤字が慢性化する恐れのあるところも出てきている。

 このような病院に子息が勤務先から呼び戻されたり、子息が自分の責任外のところでこのような状況に陥った場合は、惜しげもなく去っていってしまう。たとえ老人病院であろうとそこにしっかりとした理念や地域から評価される魅力のある療養内容であるならば、一所懸命やってきた親の背中を見て育った子息なら喜んで後を継ぐものである。ある一時期親を離れて外から親を批判した子供でも、いざ社会へ出て他人の飯を食らい、社会の厳しさに接するうちに、親が命をかける程の経営をやっていれば子供は帰ってくるものである。

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2005年06月22日

後継者セミナーで感じたこと その3  兄弟姉妹の争い

多くの病院では子供達を医師や歯科医師に育て一族経営が最も安全という錯覚に陥っている。ドクター不足の解消やトップとして自分の目の黒いうちは何とか統制ができてもいざ、トップが病気やはたまた死んでしまった後の悲劇はよく目にすることである。自分の目が黒いうちに後継者は一人と決めて、残った兄弟姉妹は同一医療法人に入れず、独立させるか、他病院の勤務医でいることの方が安全である。

 その理由はまず、財産の相続で兄弟姉妹に妻や夫という他人が入るために争いが起こり騒動となって他人以上の他人になってしまうことである。こういう例は大変多い。次に医療経営の改革や革新が求められる今日、トップは親族だからと言って特別扱いや他人より優遇することはできず、これを機に不平不満が親族間に発生することになる。その他残された理事長夫人に権力が移り、嫁姑の関係で兄弟姉妹に影響力を行使して自分に可愛い子供に継がせようと画策するケースもままあることである。

投稿者 noguchi : 15:09 | コメント (0) | トラックバック

後継者セミナーで感じたこと その2 父子の確執

 折角すばらしい子息がいながら理事長たる父親と後継者である長男又は子息との確執がある。その理由として長男が今まで父親の言うなりに素直に従ってきたが、ある時点から自分の人生を真剣に考えるうちに親に対して自己主張や意見を言うようになり、信頼関係が崩れる場合や父親が気力、体力があると自信を持つがためにまだ渡せないと頑張り、子息が力を発揮できないまま歳をとり、あせりや気力の減退しないうちに何とかしようと反発するケースが多い。最悪なのは親が対外的に院長や理事長の肩書きを失いたくないといったエゴでいつまでも地位を子息に渡さないといったエゴでいつまでも地位を子息に渡さないといった笑えないケースもある。一般企業においては大企業でも40代が社長になる時代である。時代感覚が古い70代も越えたら、少なくとも技術上の責任者としての院長職は譲るべきであり、できれば理事長職も譲るのが後継者育成のコツである。若い伸び盛りの秘められた成長力を信じ、育成に務めなければならない。

投稿者 noguchi : 14:44 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月17日

後継者セミナーで感じたこと その1

 先般、新しい試みとして後継者問題セミナー第3回を終わって感じたことを3回に分けて記そう。
まず、一昔前の経営と違って、近年では民間の中小病院は病院の他にサテライトクリニック、老健施設、特養、ケアハウスといった経営のいわゆる水平多角化が行われている所が散見され、後継者として子息に継がせる限られた人材選択肢では大きな不安を抱えているケースが多い。

 自分の代で一所懸命経営を拡大してきたのは良いのだが、後継者を育成する心の余裕や育成手法がわからず、今日まで来てしまったというのが実情である。今までのように病院という医療の頂点である技術能力だけでは今日経営に必要とされる財務、マーケティングや組織人事といった面でとても統制できるものではない。少なくとも人間性を磨き、更には介護、福祉にまで心配りができなければ患者さん達ばかりでなく、職員から離反されることは必定である。

投稿者 noguchi : 12:35 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月10日

健康を考える

 かのバブル経済がはじけて久しいが、未だに景況感が国民に実感されない状況が続いている。そこで今日・未来の景気を支える産業、ビジネスとして儲かる産業は情報産業、環境産業、健康産業といわれ、盛んに研究、開発投資が行われている。中でも健康産業はヘルスケア産業とも言われ、健康のみならず、予防・介護まで含んだ概念も取り込んで、建設業から外食産業まで多くの企業が参入し、活況を呈している。

さて、健康とはWHOの定義では「何事に対しても前向きの姿勢で取り組めるような、精神および肉体、さらに社会的にも適応している状態をいう」とある。しかし、我国の社会性からみると一般的にソフトに対してお金を使わず、物やサービス行為に支払う傾向が強い。例えば健康食品やサプリメント、果てはフィットネスにいたるまでかなりのお金を使い、医療や予防には使いたがらない。どうも心の持ち方、精神の大切さを置き去りにして肉体のみの健康や美に偏る傾向が強い。これでは日日の生き生きとした営み(生活)は永久に実現できないことにそろそろ気づかなければならない。

投稿者 noguchi : 16:43 | コメント (0) | トラックバック