【医療法人社団如水会】 佐賀県鳥栖市
急性期一般 179床(一般90、療養89)
・今村病院デイサービスセンター ・通所リハビリ いまむら
・グループホームかがやきの里 ・今村病院居宅介護支援事業所 ・鳥栖市鳥栖地区地方包括支援センター
野口:本日は「病院経営塾」で学ばれた先生の中でも大変すばらしい医療をやっておられる今村病院で理事長の今村一郎先生にお話を伺いたいと思います。
私はいつも「良い医療は良い経営から」というよりも「良い経営は良い医療をやっていれば必然的に良い経営になる」と言っていますが、ひとつはやはり患者さんに対して無益な医療は行わないというのもありますが、まず患者さんの痛み・苦しみを取り除くこと、そして患者さんの願い・思いを理解し対処してゆくことだと思います。それを見事に実践されお父様の代からさらに発展させている(今村病院の)経営についてお伺いしたいと思います。
最初の質問ですが、どのような思いで経営されているか、何を目指して、何を大切に経営されていますか。
今村:私が大切にしていることは、理念にもありますが「患者さまに健康という幸せを提供したい」という事です。
この「健康という幸せ」ですけど、健康には3つあると思います。ひとつは身体的な健康、ふたつめは精神的な健康、みっつめは社会的な健康です。この社会的な健康というのは人間関係−職場や家庭での関係がうまくいって始めて信頼関係が生まれると思っています。
野口:すばらしいですね。先生が今日までやってこられてつらかったこと、またはうれしかったことはありますか。
今村:そうですね。やはり信頼関係が一番大事だと思っておりますから、我々がやりたいと思う治療があっても、患者さまは大病院へ行かれる場合もありますし、また大病院へ行っても結局、同じだったと言われることもあります。
我々の力不足を感じる時に寂しさを感じることもあります。まぁ、医療は一人ではできませんからとにかく専門性の高いドクター、良い先生を集めてみんなでやってゆこうと思っています。
野口:そうですか。
まぁ、患者さんは大病院指向というのもありまが、なんとなく虚像を追いかけているという感じがしますね。
大きい所で診てもらえば何でもやってもらえると思っている。でも、大学病院というのは教育病院ですから、実験的なこともするしトレーニングの場ですから本当に訓練の終わった腕の良い先生というのはもういないわけで、反対に中小病院にいい先生がいるというケースが多いんですね。すばらしいお考えだと思います。
(もう一度お伺いしますが)つらかったことと嬉しかったことは?
今村:この病院は父が作った病院で、私は後継者なんですが2025年問題を考えた時に、地域で急性期をやっていきたいと思った時に、今のままではやってゆけないと思って父に相談しました。
まぁ、息子ということもあって父は私の考えを受け入れてくれませんでした。話もきいてくれませんでした。ですから半ば強引に父から病院を引き継いだ
断腸の思いで、でも自分の強い決意をもってそうしたという経緯があります。父には結果を見てもらおうという思っていますが。それがつらいことでした。
うれしいことは、急性期においてはまず、循環器と脳神経外科が大事ということで2〜3年かかって先生方に来ていただき、重症の患者さんも受け入れる事ができる体制ができたことです。患者さんが治って喜ばれることはこの上なく嬉しいことです。
最終的には私がこの世を去る時に、「この病院があって良かった」とひとこと言ってもらいたい、そのひとことを聞きたいと思ってやっております。
野口:大変すばらしいですね。
お父様も大変喜んでおられると思います。先生の生き様を率直に語っていただきました。
あと、超高齢社会における地域医療について、介護もやられているそうですが、どのようにお考えですか。
今村:急性期で来られる患者さんはほとんど高齢者の方で、増えていますから介護とは切っても切り離せないものです。ですから、地域のクリニック・医院さんと連携を取ってしっかりやっていきたいと思っています。
我々は急性期を診て、治ったらまた地域にお返しするという連携を地域ぐるみでやっていくという考え方が大事だと思っています。
介護の方は認知症も増えてきますし、行動範囲の狭い高齢者も増えてきますから、家族の方も仕事があるという中で、生活もサポートできる−全てを循環できる事ができればいいと思っています。
野口:見事ですね。ますます地域になくてはならない病院になるんじゃないかと、私も思います。
さらに発展していただきたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。
(医)社団如水会 Webサイト
http://www.josuikai.or.jp/
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