以上述べたような患者にとって好ましからざる医師が生まれる原因は、今日我国の医師において大学医学部に入学する動機が一般的に将来安定した職業で地位や名誉、そして高い所得が得られるものと考え、あるいは学校で学業成績が優れ、偏差値が高いといった理由で教師から医学部入学をすすめられたり、また或る者は親が病院の経営者であるがために後継者として仕方なく医師になるといったことなどに起因しており、本来医師としてふさわしい、なるべくしてなったという医師がどれ程いるのかが危惧される状況にある。
これから益々厳しくなる医師に対する社会の評価に対して、今までの自分を変えられない医師は淘汰されて当然である。しかし人は誰でもはじめの動機はどうあれ、本来の自分に気づき自己革新ができる者ならば社会から大いに歓迎される。
反対に自分はどうも医療の道がさして好きでもなく、ふさわしくないと感じたら今からでも遅くない。本来の自分が実現される好きな道を選ばれることをおすすめする。さもないと診る側、診られる側双方とも不幸になるだけである。
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