本来の自分の実現したい医療を行ってゆくには技術プラス人間性であることは以前述べた。その基本となるのは自己の心のスタンスであるが、それは一般的にその人が育った時代や周囲の環境によるところが大きい。
最近感じることは40〜50代の人は、豊かな時代に育つ中で医師になったせいか、世の中は何でも自分の思い通りになり、しかも医師ゆえに周囲から持ち上げられ、叱る人もおらず、そのせいか礼節をわきまえない人が多い。それに対してそれ以降の若い世代の医師はバブルがはじけ、同世代の人達の就職難や能力主義の人事などで厳しい環境にさらされるのを見ているせいか、社会常識をわきまえ、しっかりしている者が多い。
これからの時代はいくら技術が優れていても古い世代の権威主義の医師や、中年の節度のないわがままな医師は嫌われ、それ以降の若い医師や女医のやさしさが好まれる傾向にある。医療を通じて自己実現を求めるのであれば、まず患者さんから好まれ、慕われることなしでは叶わず、そのためにも時代の変化とスピードに合わせて自己革新をし続けることがせつに求められる。
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