今日の医療機関はややもすると、収益をあげるためにより多くの外来患者さんを流れ作業的に診たり、また大学病院では技術習得のために人を診るよりも疾病を診て生命体よりも人体という材料を相手にしている観すら呈していることが見受けられる。
信頼される医師とは一度関わった患者さんに対してはその人の人間性や持っている価値観、更には家庭や職場環境まで幅広く観察し、全人的に診ることが求められる。そうした面で言えば、カルテの正確でかつ環境条件などの詳しい記述や時系列の変化など長期間の記録を電子化して保存しておくことが今後は大切となろう。また、時には患者さんの家庭などに往診を行うのも病気の背景を知る意味でも、このような体験を通じて修得することが望まれることである。
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