メールマガジン【医師のための禅】 |
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《 医師のための禅 》
その5
2003.11.26
〜一体とは愛である〜
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禅はお釈迦様の教えの真髄をお経や一方的に上から与える
教育に依らず、自らが体得する教外別伝の手法である。お釈
迦様の体得した悟り、無常、無自性、色即是空を自分なりに
つかみ、生活に用いて安心立命することを旨とするものであ
る。
大宇宙は無常、無自性の故にその分身としての人間も又無
常、無自性として存在する。ひとときとして同じ時はなく刻
々と変化し、存在するものは全てそのまわりとの関係により
規定され、あらしめられる。そこには人間の考える善悪、損
得、大小は存在しない。人間は比較することにより一喜一憂
する。即ち理性の働きが悟りを鈍らせる。一体とは例えば母
親と乳幼児の関係に例えると分りやすい。乳幼児が池にはま
ったり、家が火事で取り残されたとした場合、多くの母親は
自分の命を省みず自己を忘れて助けに飛び込んでしまう。そ
こには何ら損得や見返りを求める行動は微塵も存在しない。
子供の命や苦しみは自分の命や苦しみ、まさに子供と一体、
真の愛が存在する。倫理や道徳、哲学、科学と違った絶対愛、
換言すればそれが宗教の本質である。
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