メールマガジン【医師のための禅】 |
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《 医師のための禅 》
その10
2004.01.15
〜公案の眼目〜
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公案とは公府の案牘(とく)(役所の帳面)とは優れた禅者
の言葉や行為などを記して禅の修行者に考える対象や手掛か
りを与えて、悟りに導く手段として用いられるものである。
又、これによって悟りのレベルをテストする手段としても使
われる。その則数は1700則あると言われているが本当に
必要なものは10則くらいで足りる。我国では栄西禅師が興
した臨済宗に於いてよく用いられ、代表的なものに「隻手の
音声」=片手の音を聞いて来い。や「父母未生以前の自己」
=父母がまだ生まれる前からのお前をここへ出してみせよ。
などがあるが、何れも今ここの自分をはっきりと見る(見性)、
悟ることである。公案に対してはマニュアル的な模範解答と
いったものはなく、その人なりの腹に落ちた答えが正解とな
る。さて禅の公案は坐禅をすることによる無や透脱の体質が
身についてこそ解けるのであり、知識で解けるものではない。
同様に医師にとっての公案は医師という仕事を通じて解決し
なければならない難問に対して一所懸命工夫する体験を通じ
て解くことにほかならない。
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