碧巌録第六則にある大変よく知られた言葉である。人は誰でも 毎日が苦労もなく安楽で素晴らしい日々の連続であって欲しい
といういわば我欲にとらわれるものであるが、禅ではそれを厳 しく戒めている。
医師になって当初は未知の世界を探求し体験する中でおおよそ のことを会得すると後はたいした努力もなく、その延長線上で
食ってゆけるようになり、さらに人によっては患者を診ること を忘れ金銭や地位や名誉に執着し、それに拘泥して、ずっとそ
の状況に浸っていたいと願う人も出てくる。
諸行無常、いつ時代にあっても環境が変わり、そのような幸運 や恵まれた状況は自身の健康や周りの環境でいつどんでん返し
があるかわからない。諸行無常、常に変化することが天の理で あることを知れば、日々という連続ではなく日日、瞬瞬、今こ
こにあることを認識して、ひと時を無駄にせず精進し、瞬瞬を 大切にした行動が結実して人生の年輪を太く充実したものにな
る。すなわち好い日となることを示している。
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