禅の修業者に悟りに到達させる手段として師が弟子に与えて工
夫させる問題を言う。語源は公府の案牘(あんとく)中国にお
ける役所の調書に喩えて称され、問題に対する答えによって悟
りのレベルが分かる。
公案のテーマには主として古人の祖師達の言行を集め、その中
から修行者にその時々に有意義と考えられる教示や暗示に富ん
でいる話が多い。例えば、趙州無字、洞山三斥、庭前の柏樹子
などが有名で古則公案と称され、その代表的なものに碧厳集、
従容録、無門関などがある。特に無門関には48則の公案が集
められている。また、後代に作られたものや新しいものも用い
られる。例えば49曲りの坂道を真っ直ぐ歩けとか、川向こう
のケンカを止めてみよ、などと多数ある。要は問題をどう解決
するかにある。
医師においては自身が医療の現場でつき当たる難問に対してど
う対応するのか問題を解くことと同じことである。
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