道元禅師はさらに生死の中に仏なければ生死にまどわずと続け
て言っている。禅で言う「あり」とは現実そのもの、実相を意
味し、「なし」とはこだわらないを意味する。生と死という相
対概念にこだわらなければ生と死にまどわないことである。
要は生きている時は生きているだけ、今ここ今日一日をひたす
ら生き生きと生き切る、そのような時には死のつけ入る隙もな
く、生なり全機現であり、自分に備わっている全ての能力が余
すところなく発揮される。そのような自分に常に心掛けていれ
ば他人も同様、生を大事に生きていることが感じられるもので
ある。
患者さんが死の縁にいる時、どのように対峙するのか、いたず
らに延命させるのではなく、患者さんが寿命を全うするための
サポートが求められる。また死を迎えた時、家族・近親者への
対応も生・死をことさら大切に感じさせる絶好の機会ととらえ
て対応することも同時に求められる。
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