これは無門関第12則にある言葉で「私の主人公」と「私は主人公」という2つの意味がある。中国の唐代 瑞巌寺の師彦禅師が毎日石の上で坐禅をしている最中に時々「オーイ主人公」と大声で自分に呼びかけ、自分で「はい」と返事をすることをくり返した。「私の主人公」とは私達は通常世間にあって、常に自分を取り巻く環境に左右されがちになり、心が常に外向きで、
損得、大小、遅速などを他と比較して心を騒がせ自分を見失いやすい。このようにウロチョロする自分を抑え、本当の自分に返ることがストレスや他人にだまされることから免れるコツである。また、「私は主人公」という意味は威張ったり、他人をないがしろにするといった自他を比較するのではなく、この宇宙でかけがえのない2人といない自分に目覚めることによって、他者も
自分と同じようにかけがえのない存在と認め、お互いが尊重し合うことにより幸せになれる。そこには自分が卑屈になったり、他者との従属関係や支配関係を越えた自由人としての本来の自己が発揮される。
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