メールマガジン【医師のための禅】

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《 医師のための禅 》
その58
2005.5.26

 〜心身脱落 脱落身心〜
    
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  道元禅師が中国へ渡り正師たる天童山の如浄禅師の元で悟り
 を得た時に、師の前で身心脱落(秀脱=無=空)した旨を告げ
 て印可を得た。その際、師はさらに脱落身心と示し言われた。
 身心脱落とは自己の我が消え失せる。何事にもとらわれない状
 況を言い、禅では無、仏教では空とも言う。本来の自己は仏性
 (悟っている即ちありのまま実相 悉有仏性)であるが故に脱
 落身心である。言い換えれば、仏教の共通経典である般若心経
 に言う色即是空、空即是色である。
 
  しかし、人間はややもするとエゴの心(自分の都合)で物事
 をはかり素直にありのままを見ようとしないがために、心があ
 らぬ方向に動き、他人に対して恨んだり、嫉んだり、はては傷
 つけたりもする。その故に修行が必要となる。道元禅師は現成
 公案の巻きで「仏道をならうというは自己をならうなり。自己
 をならうというは自己を忘るるなり。自己を忘るるというは万
 法に証せらるるなり。万法に証せらるるというは自己の身心お
 よび他己の身心を脱落せしむるなり」と示し、自他一体は他人
 をも無に帰せしめるとしている。



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