従容録第57則にある公案である。放下とは放り投げる、棄て
ることであり、著とは放下を強調する語で捨ててしまえとなる。
我々はややもすると問題にブチ当たると問題が複雑である程、
部分に執着して解決どころか迷路に入ってしまう。又、自分の
我欲にとらわれて問題の本質を見失ってしまい、間違った答え
を出してしまいがちとなる。又、一度手にした財産や地位を失
うまい、永続して欲しいと願うために、周囲の状況が変化して
いるにもかかわらず、それに執着したがために対策が後手とな
り、返って失う結果を招くことになる。
一般的に人は誰でも失敗の体験から多くを学び、次なる行動に
生かすものだが、成功体験に於いてはひとときの成功というこ
とを忘れ、何にでもそれは通じるものと思い込み、変えたくな
いと思うものである。医師の地位や所得も患者の価値観や技術
革新、世代間のギャップなどでガラガラと変わる。医師として
人の生老病死にかかわる大切な仕事に対して今一度自身のあり
方を放下著で再構築することが求められている時代ではないで
あろうか。
戻る
|