これは金剛経にある語で、禅宗では六祖恵能がこの語で悟っ
たという有名な公案である。直訳すれば「応に住する所無くし
て、而も其の心を生ずべし」となり、心が一つのところにとど
まる。即ちものごとに執着してとらわれる(=迷い) ことなく
全てに対応すべし。そうすれば、本当の心(菩提心=悟り)を
生ずることができる。
我々は金や地位、名誉といったところに住んでいるが、そこに
心を失い勝ちである。達人とか悟った人とは無心になりきれる
人である。金儲けの達人は金に無関心でも自然に金が入り、ス
ポーツ選手でも心をあちこちと運ぶことなく、ただそれに成り
切るところにベストの記録が出るものであり、記録をねらったり、
勝ちたいと思うと緊張して負けてしまうものである。
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