これは道元禅師 正法眼蔵の一巻であるが、これは釈尊を尊敬し
愛する禅師が釈尊が説いたとされる般若心経について述べたも
のである。般若波羅密とは六波羅密という修行で、布施、持戒、
忍辱、禅定、精進、般若智(智慧)を行い続けてゆけば必ず悟
りに至る。即ち
色即是空 空即是色 色不異空 空不異色ということが体得で
きると心経で示されている。色(そこに存在するもの)は空(
実体はない)即ち常に変化し、且つそのものはその場でいろい
ろな物(又は人)によってあらしめられているのである。不幸
とか汚いというのは常識にとらわれた人間の見方であり、他か
らみれば幸せや宝物にも見える。又、今ここにおいてとらえる
ことのない無常無自性としてその物は存在する。これに対して
道元禅師は色即色 空即空 と示し、その事物と出会った時は
その事物と一体、空の時は空そのものになりきれと示し、修行
する者に中途半端にならないよう徹底することを要求する。
患者さんを診る時は患者さんだけ、家族と居る時は家族だけに
という一体が極意である。
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