道元禅師は著 正法眼蔵第三十一巻 生死の巻に「生死の中に仏
あれば生死なし。又、生死の中に仏なければ生死にまどわず」
と述べている。
生と死は人々の最も悩ましい根元的な問題であり、人はいかに
それに捉われずに悠然として生きてゆくかを願うものである。
人間(自分)の生死そのものが真理(仏)の実現(真実)=あ
りであって、真理のほかに別に生死があるのではなく=なし
又、生死がそのまま真理であるから素直にそれに従うほかなく、
生死に迷ったり執着したりして惑わされることもなくなる。生
きているということはただ息をしているのではなく、生き生き
と生きることである。生を生たらしめるのが仏にかなった生き
方(仏道)であり、死に行く時は生に執着せず今ここの死にな
りきることが死に際してあたふたとしない極意である。
病人は病気の時は病人らしく病気から逃げずに病気と一つにな
る。体を休める。そして医師の仕事は人のもっている本来の生
命力 自己治癒力を最大に引き出すお手伝いをすることにほか
ならない。これからの超高齢化社会にあって高齢者に対する医
師の役割はいかに看取りの医療をより良く実践するかが問われ
る。
戻る
|