仏教の根本は生老病死の四苦からいかに脱して安心して充実
した生き方を求めることにある。その方法として釈尊は四つ
の方法を示されている。これを四摂法または四般若と呼んで
いる。
具体的には慈悲の心(「慈」とは喜楽の因縁を「悲」は離苦
の因縁を与える)を持って人や事に当たること、具体的には
布施(フセ)愛語(アイゴ)利行(リギョウ)同事(ドウジ)
である。道元禅師は正法眼蔵の菩提薩理四摂法に以下のよう
に示している。
布施とはむさぼらないこと、へつらわないことであり、見返
りを求めず、ただ与える。心を与え、命を与え、真理を与え
ることであると。愛語とは愛心をもって、それを口に出して
相手を正しく導く。利行とは自分のことを後回しにしても他
人の幸せを先にする。換言すれば自利と利他 自分にあって
欲しいことは他人も同じと考える。同事とは同化、即ち相手
の立場に立って考える。自分も他人も一体であると。ただし、
このようなことを知っていることだけでなく、常に実践でき
る体質を、禅では只管打坐や公案を通じて作ってゆくことが
大切である。
患者さんに対してこのような行動を取れば、例え医療事故や
問題が起ころうとも看取った近親者は納得するものである。
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