2016年2月6日 品川TKPカンファレンスセンターにて第20回日医研

クラブ経営研究会例会が開催されました。

 
nichiikenclub_photo1
  
   
 
初めに塾長 野口哲英より参加法人の紹介があり、そのあと参加者ひとりひとりがそれぞれの地域において取り組んでいる地域包括ケアシステムについてお話しいただきました。

医療法人隆徳会鶴田病院(宮崎県西都市)の鶴田先生は「初めて西都市に訪問看護ステーションを作ったが、採算的には大変厳しい」事や、医療法人興生会相模台病院(神奈川県座間市)の山上会長からは「介護難民のための施設づくりをしたいが、今の国民年金ではその施設に入ることができない、また介護従事者も足りない」という意見が出たり、医療法人光潤会平間病院(茨城県下妻市)の平間先生からは「在宅復帰に力を入れてゆきたいができていないのが現状。地域は閉鎖的な田舎独特のなわばりがあってコミュニティに入ってゆきたいが、そのコミュニティにも老人しかいない」といった取組みに大変苦労しているという意見がありました。

その一方で医療法人青仁会(鹿児島県鹿屋市)の池田様からは熱心な行政の担当部長と共に4つの地域包括センターを1本化して推進サポートワーカーを育てているといった熱心なお話を伺うこともできました。社会医療法人壮幸会 行田総合病院(埼玉県行田市)の川嶋先生からは「地域支援病院として救急の受け入れを積極的に行っている。また地域の医療機関への逆紹介を行っている」とお話いただきました。また 医療法人清梁会 高梁中央病院(岡山県高梁市)の戸田先生からは「岡山には「晴れやかネット」 (http://hareyakanet.jp/) という診療状況を共有するための医療機関のネットワークがあり、患者の病状の動画などがあり、患者の病状の動画などがあり医療機関や施設で患者の状況の共有ができる」といった先進的な取り組みをしている県のお話を聞くこともできました。財団法人周行会内科佐藤病院(宮城県仙台市)の佐藤先生からは「今までは自分のところに来た患者が得するようにやってきたけれど、それではやってゆけないので地域のクリニックなどと一緒にやらなければならないと思っている」といったこれからの取り組み方についてのお話しもありました。

今回コメンテーターとして参加していただいたMMPG事務局長 坂井様からは「地域包括ケアシステムは1にも2にも『連携』が大切です。地域の医療機関と介護施設と行政が一体となって地域の高齢者を見てゆくことは30年来言われてきたことだけれど、今 最も重要なこととしてもう一度再認識しなければならない。また、介護を“川下”と考えると医療は“川上”であるから、やはり川上から取り組んでゆくのがいいのではないかと思っている」というお話がありました。

医療経営コンサルタントの里吉様からは「地域包括病棟については患者さんがどういう状況でどう地域包括病棟へ入ることを薦めるかにはマニュアルが必要だ」とご指摘がありました。そして「いかに他の施設と連携をとってゆくためには顔が見える関係をとるべきで、そのしかけが必要だ」とお話いただきました。「病院から外へ声掛けをしてゆく必要があるんです。これから市の人口はこうなってゆくよね。だから、どうするべきかと腹をわって行政とも話してください。」とこれからの医療機関の行政とのかかわり方についてお話いただきました。連携方法についてはもうひとつ、「患者のことはケアマネージャーが一番理解している。だからケアマネに地域のそれぞれの病院のベッドの空き状況などを理解してもらう必要がある。そのツールが必要だと思う。」といった意見をいただきました。

 また、次に問題として挙がっていた「人材」については野口塾長よりベトナム人を介護士として採用するのもひとつの解決策というアドヴァイスがありました。看護士も中国人や韓国人などの漢字の分かるアジアの若い人に働いてもらって喜ばれているという具体的な例をお話いただきました。海外の医療について詳しい坂井様より「オランダの家庭医制度がすばらしいと思う。医師と家族が安楽死の話もできるほどお互い信頼感を持っている。診療所のひとりの医師が1500人から1700人の患者を受け持つが、ひとりの患者の健康・病気の予防から最期の看取りまでを診ることができるので責任を持つことができている。」というお話もありました。

 さて、各都道府県の「地域医療構想の策定時期」は厚労省の聞き取り調査では平成28年度中という回答が最も多いようですが、みなさんの地域ではどうでしょうか。課題も山ほどありますが、高齢者が健康で生き生きと地域で暮らしてゆけるように、まずは各医療機関・介護施設が自ら動くことを肝に銘じて進めていただきたいと今回のセミナーに参加して思いました。 
 
 
   
     
 
   
 
           
     
   

I.H.M.Aは医療及び福祉に関わるマネジメント教育を推奨している非営利法人であり、日医研はI.H.M.Aの認定機関です。